古くは江戸時代の仕出しや明治時代に始まった牛乳配達、そして戦後にスタートして現在では世界で8万人を数えるヤクルトレディによる配達、
または組合員の出資によって運営される生協のシステムなど、日本の食品宅配サービスはユニークな発展を遂げてきました。
2000年以降は大手企業によるネットスーパーへの参入も相次ぎました。また、グローバル化の波も押し寄せています。2017年にWhole Foods Marketを買収したECの巨人Amazon.comは、同年に日本でも生鮮の宅配サービスを始めています。
食品ECの魅力は水や米など運搬が大変なものの購入に便利というだけではありません。レシピ付きの調理セットや旬の食材の定期宅配など、普通の買い物では得られないさまざまな付加価値が提供されているのです。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行とともにECが大いに伸びたのはご存じの通りです。一方で、食品小売業に占めるオンライン支出の割合は、
少なくともこの10年間の前半は一桁台にとどまるだろうと予想されています。StatistaのDigital Market Outlookによると、コロナの影響による食品ECビジネスの押し上げが最も顕著に見られるのはアジアです。
アジアの食品小売業に占めるオンライン支出の割合は、2017年には1.88%だったのが2020年には4%近く、そして2023年には5%近くまで上昇すると予想されています。
欧州と北米では1%程度。BOPIS(Buy Online Pickup in Store)などオムニチャネルへの取組みで先を行く米国の数字が低いのが気になりますが、これは広大な農村部での普及の低さが影響していると思われます。